さんちゃん 寒い

今でもお笑い芸人のギャグは毎年生まれ、流行り廃りを繰り返します。
1980年代の少年たちにとっても、勿論ギャグは、みんなで真似をした物です。

例えば、ドリフターズでは、「カラスなぜ泣くの カラスの勝手でしょ」「ちょっとだけよ」、村上ショージでは、「何を言う、早見優、しょうゆ、ラー油、北天佑」、コント赤信号では、「兄貴、兄貴」など多くのギャグが生まれました。

そんな中で、明石家さんまと島田紳助の「さんちゃん 寒い」は、ちょっと独特なギャグでした。
フジテレビ さんちゃん寒い

ギャグの流れ

「さんちゃん 寒い」は、明石家さんまが自宅に帰ってくると島田伸助演じる女性がさんまの部屋は入ろうとする、それをさんまが色々と阻止するのだが、最終的には入れず、「さんちゃん 寒い」とつぶやく。

後半では、伸助演じる女性が変装をしたりと趣向を変えるのだが、基本的には、部屋に入る入らないの攻防の末、やっぱり入れなかったというのが主題(?)です。

ギャグの誕生

後に明石家さんまが語っているのですが、伸助と一緒にさんまの自宅に帰ったところ、当時付き合っていた女性がマンションにおり、伸助が気を利かせて帰るといったらしいのだが、何故かさんまがその女性を「クリーニング屋」だと言い張り、結局、洗濯物を持って帰って貰ったという実話が元になったそうです。
フジテレビ 明石家さんま

元々は、伸助が人気があったさんまをやっかんで、
「さんまって、こんなに酷い男なんですよ!」
と言う意味を込めてスタッフに話したのかも知れませんが、当時のさんまもフジテレビもそんな女性とさんまのやり取りの面白さだけを切り取ってお笑いにしてしまいました。

アレンジ

先にも書きましたが、当初は、本当に誕生と同じく洗濯物をさんまが女性に投げていたり、ドア前で女性が室内に入ろうとクルクルと回ったりとするだけでしたが、後半には、色々なアレンジが生まれました。

・仮装
野球選手やバレリーナ、子供、母親などなど

・舞台
最初は、マンションでしたが、宇宙、教室、何故かプールなどなど

アレンジの中で生まれた言葉として、さんまがあまりにもしつこい女性に対して、ドアを開けてお金を投げる事があります。
すると女性は、
「お金じゃないの」
と何ともさびしそうに言う事があり、「お金じゃないの」も結構好きでした。

クレーム

この「さんちゃん 寒い」は、言うなれば男女の機微をギャグにしており、加藤茶の「ちょっとだけよ」は、直接的にエロさがありましたが、こちらは、間接的なエロさがあったと思います。
加藤茶の時は、色々とPTAとの確執があったようですが、オレたちひょうきん族の時は、テレビ局とPTAは基本的に争う物という前提があったからなのか、あまり問題になっていなかった様に記憶している。

考えてみれば、加藤茶のエロさは、健康的なエロと言う感じがするが、さんまと伸助のエロさは、大人のエロさだった様に感じる。

その要員としては、女性を演じた伸助が何ともいい味を出していたことに由来すると思う。
フジテレビ 島田紳助
こんな事を書くと怒られるかもしれないが、微妙に伸助の演じる女性が「不細工」な所がよかった。
つまり、不細工な女性が酷い目にあうという構図は、哀れを感じないので、そこがよかった様に思う。

やっぱり美人が無視されたり、水に落ちたりするのは、ギャグにならないのかもしれない。

また、色々な要素が入ってくるのだが、どこまでが実際にあった事なのかという部分も見ている側としては気になる部分だろう。

しかし、小学生が、教室の扉でさんまと女性をやっている絵というのは、今考えるとシュールなのかもしれない。